どうしてこんなにカレーが好きなのでしょうねぇ・・。自分でもちょいとおかしいと思っております。寿司より、ステーキより、中華より、イタリアンやフレンチよりも、カレーが好き。好き嫌いはゼロなので、もちろん何でも美味しく頂きますが。なぜた、なぜだ、なぜだ、何故なんだ〜。と、壁に頭をぶつけても、正座して目を閉じ、心の深海へ、イエローサブマリンで潜ってみても、さっぱり分からぬ!気が付いたらそう身体になっていたのです。 何とか記憶を遡って思い出せたのは、小学生低学年の頃にやっていたテレビ番組「がっちり買いまショウ」で一気にブレイクした、オリエンタル・マースカレーに入っているチャツネのチューブを冷蔵庫からこっそり出して、チューチューすすっていた事ぐらい、までだ。なるほどこれが味の決め手なのかと・・。誰しも家で食べていたおふくろのカレーの味こそが原点と言うけれど、どうもそれだけではなかったのが解りました。 ,http://gdata.youtube.com/feeds/api/videos/UkrBCNPiUzw,,{"playerWidth":"240","useCustom":false,"autoPlay":false,"autoLoop":false,"autoNext":false,"quality":"default","qualityName":"自動"} ,http://gdata.youtube.com/feeds/api/videos/4A-z6tu44xY,,{"playerWidth":"240","useCustom":false,"autoPlay":false,"autoLoop":false,"autoNext":false,"quality":"default","qualityName":"自動"} 自力では解決に至らなかった故、ある日、母に「何でオレは、こんなにカレーが好きなのか、もしや祖先にインド人でもいるのでは?」と尋ねてみた。すると、母はしばらく遠くを見つめて「あ~〜、あれかも・・」とひと言。聞いてみると、母は赤ん坊のワタクシに初めて酸っぱいものを食べさせた瞬間、顔がギューッっと梅干のように縮んで行く様子を見て一家全員、涙を流して爆笑したらしのです。これはいつの時代でも、赤ちゃんを授かったファミリーの特権的な楽しみのひとつとして、おなじみですよね? で、今度は辛いものを食べさせたらどんな顔をするんだろうと、3歳のワタクシを両親がご贔屓のカレー屋さんへ連れて行ったそうなのです。運ばれて来たカレーを前に、さ〜て今回はどんな顔をするか、興味津々ウッヒッヒッヒと、カレーをひとさじ口に入れてみた所、予想に反してシーンと黙ってしまったんだそうです。はて、何だこの無反応は。じっと見つめてると鼻をピクピクさせ赤ん坊の目にうっすら涙がにじみ始めた・・。むむっ、まさか喉に詰まったか?こりゃまずいと、指で口を開けてみたら中は空っぽ。あれれ?すると急にその赤ん坊は両手をペンギンのようにバタバタさせながら、口をツバメのように突き出し、もっとくれ、もっとくれ、とせがんだと言うのです。 母曰く、その時の顔はまるでロダンの考える人のように眉間にしわを寄せ、こんなに旨いものは今まで食べたことがないぞとでも言いたげな、赤ん坊らしからぬ複雑な表情に感じたのだそう。赤ちゃんの百面相、しかと見届けたり!そのままスプーンで何度も口まで運んだ末、お皿のカレーを半分平らげてしまったそうな。他の料理ではここまでの出来事は起こらなかったそう。へぇ〜そんな事があったのか。それだねそれ!これでやっと腑に落ちた。赤ん坊のスパイス・チャクラが開いちゃった記念日のお話でした。 三つ子の魂、百まで。 ありがとう、新宿 中村屋。 家のカレーが旨かった。 最後の記憶、オリエンタル・マースカレー以来、物心がついてから家で市販のルーを溶かしたカレーを食べた記憶がまるでないのです。カレーだけは、母が玉ねぎを炒めて小麦粉抜きで作ってくれていたのだそうな。ありがたや、ありがたや。そしてその鍋の中へ、マースカレーのチャツネだけを取り出して絞って入れていたのです。チャツネだけ売ってれば良いのにね〜、なんて言いながら・・。 でもまあ、これ、54年前の話ですから。(石田)
|